【読書】中山可穂「白い薔薇の淵まで」を読みました。
中山可穂さんの小説が読みたくなりブックオフで探してみると1作品だけ見つけました。
それがこちら「白い薔薇の淵まで」。
急に恋愛小説が読みたくなったのですが、この歳で若者の純愛小説なんて芸がないので女性同士の同性愛をテーマにした小説に定評のある中山可穂さんの作品に手を出してみました・・・。
だってさー自分に浮いた話がひとっつも無いのに、男女の恋愛事情みた所で嫉妬しか生まれないじゃない?うっせ!!勝手にヤってろっ!!ってなる。だから同性愛♪おけー!
小説の中身は230ページと少なめです。ゆっくり読んでも1週間もあれば読み終わりますね。
内容は若い小説家の女性と三十路OLの恋愛模様です。性欲の強い自分勝手な少女に婚期を逃したOLが振り回され、普通の男と幸せになろうとするが、既に身体はフツーの雄との行為では満足いかない身体になっちゃってて皆が破滅にむかっていく話です。
短い話ですが無駄な文章や言い回しがなく、1つひとつの言葉が一々色っぽいです。単純に好きですね。本編とは別に収録されたコラムやあとがきも味があって面白かった。ここまで1ページ1ページ。1文1文楽しませてくれる小説ってあまり無いと思う。
好きな一文
小説家の塁がOLクーチの目の前から消え新たな小説を書き終えた。その小説を偶然手にとったクーチの反応を表した文。
わたしは夢中で塁の小説世界へ引き込まれていった。それはそのままわたしたちの過去の蜜月に引きずりこまれていくことだった。わたしたちの天国と地獄をリアルに追体験することに他ならなかった。一から十までそれはわたしたちのことだった。わたしが死ぬ想い出封印した記憶のかさぶたを、鋭利なメスでひとつひとつ丁寧に剥がし、再び傷口を抉り出して鮮血を滴らせてみせるのが塁の仕事だった。その血しぶきの一滴一滴が言葉であり、血溜まりのぬかるみが文章なのだった。やがて執拗に露わにされすぎた傷口は致命傷となり、ひとつの死体ができあがる。その無残な死体のことを塁の世界では文芸作品というのだった。
なんなんでしょうね。一見普通の女性として登場してきたクーチ。終始クーチ目線なのですが描写されていないだけで物語中の他の登場人物はクーチがどんどん変わってきている事に気づいているはずだよなーぁって感じです。
それとこの小説にも野良猫が登場します!野良猫のように好き勝手に生きている塁が心を許していたのはクーチと野良猫達だけでした。塁はクーチとセックスするか野良猫に餌をやるかだけでしたが・・・。
同性愛とか興味がない人でもひとつの娯楽小説として楽しめますよ♪
とりあえず男性諸君はしっかり腰が振り続けられるように鍛錬が必要なようです。3日3晩とか無理すぎんよ−(・∀・)
あと何作品か読んでみようと思います。